EC運用ノート

実データ約9分

楽天レビュー1,609件を分類して分かった、商品ページで本当に直すべきこと

運用代行として支援している楽天店舗の上位50商品・レビュー1,609件を分類して定量化しました。満足の理由は集中する一方、不満の理由は88種類に散らばる——だから「よくある改善リスト」では売上が動かない、という話です。

商品ページを直したい。でも、どこから直せばいいのか分からない。

楽天の運用でいちばん多い詰まりどころだと思います。アクセスはある、転換率も悪くない、でも「次に何を直すか」の根拠がない。結果、なんとなくバナーを作り替えて、なんとなく終わる。

この「根拠がない」を潰すために、レビューを読むのではなく、数えました。

支援している楽天店舗の直近3ヶ月売上の上位50商品について、レビューを1件ずつ分類し、集計した結果です。実務でそのまま使った手順と数字を、まるごと公開します。

この記事のデータについて

数字はすべて、運用代行として支援している楽天出店ブランドの実データです。店舗名・ブランド名・商品名・カテゴリは非公開とし、個別商品の売上等は掲載していません。掲載しているのは集計値のみです。

50商品

直近3ヶ月の売上上位

1,609

分類したレビュー総数

4.34

平均レビュー評価

190

導き出した改善案

平均★4.34。なのに「不満が10%を超える商品」が4つに1つあった

まず全体像から。50商品のうちレビューが付いていたのは43商品で、合計1,609件(1商品あたり平均32件)。平均評価は★4.34でした。

数字だけ見れば健全な店舗です。ところが★2以下の割合を商品ごとに出すと、様子が変わります。

★2以下レビューの割合(43商品)

レビューが付いていた43商品の内訳。店舗全体の平均評価は★4.34だが、商品単位では大きくばらつく。

0%(不満ゼロ)12
0〜5%9
5〜10%11
10%超11

43商品のうち11商品、およそ4つに1つで、★2以下が10%を超えていました。 さらにそのうち6商品は、表示上の平均評価が★4.0以上あります。

これが厄介なところです。店舗ページの★は平均で見えるので、★4.2くらいあると「この商品は問題ない」と判断してしまう。実際には10人に1人以上が低評価を付けていて、その理由は本文の中にしか書かれていない。売上上位=主力商品なので、ここでの取りこぼしがそのまま金額に効きます。

最初にやるべきこと

平均評価ではなく、商品ごとの★2以下の比率を出す。平均★4.0以上で低評価率が10%を超える商品は、伸びしろが最も大きい候補です。

満足の理由は集中する。不満の理由は88種類に散らばる

次に、レビュー本文を内容で分類しました。「使いやすい」「液漏れする」のように、何について書かれているかでテーマを付けていきます。

結果、満足の理由は111種類、不満の理由は88種類のテーマに分かれました。ここまでは想定内です。面白かったのは、その散らばり方が満足と不満でまったく違ったことです。

テーマが「何商品に共通していたか」

同じテーマが複数商品にまたがって出れば、それは横展開できる論点。

満足:最多テーマ
「使いやすい」
12
不満:最多テーマ3

満足テーマには、はっきりした芯がありました。「使いやすい」が12商品で共通の評価軸になっていて、「塗りやすい」「コンパクト」といった近い意味のテーマも続きます。つまりこの店舗の顧客は、一貫して「扱いやすさ」を評価して買っている。

一方で不満テーマの最頻値は、たった3商品です。88種類のうち78種類(89%)は、その商品でしか出てこない不満でした。

満足テーマ 不満テーマ
ユニーク数 111種 88種
延べ出現 147件 101件
1商品にしか出ない 99種(89%) 78種(89%)
最も多くの商品に共通したテーマ 12商品 3商品

同じ「89%が固有」でも、意味が正反対です。満足側には12商品を貫く軸があるので、そこを見つければ全商品の訴求に使い回せる。不満側にはそれがない。不満は、商品ごとに固有の事故として発生している。

だから「よくある改善リスト」では売上が動かない

ここから導かれる結論が、実務的にはいちばん大事だと思っています。

訴求は横展開できる。不満つぶしは横展開できない。

「使いやすさ」が刺さると分かれば、その言い回しは50商品すべての冒頭に効かせられます。1回考えて50回使える。効率がいい。

でも不満のほうは、1商品ずつ中身が違います。ある商品は「思ったより液漏れする」、別の商品は「説明書がないので使い始めが分からない」、また別の商品は「色が写真と違った」。共通項がないので、「楽天 商品ページ 改善」で出てくるような一般的なチェックリストでは、1つも潰せません。

よくある改善リスト(画像を増やす、送料無料訴求を入れる、レビューを載せる)が効かないわけではありません。ただしそれは全商品に等しく効く底上げであって、いま★2以下が12%付いている主力商品の、その12%の理由には触れていない。

この分析でいちばん効いた考え方

ページ改善を「共通施策」と「個別施策」に分ける。共通施策=満足テーマの横展開(1回考えて全商品に反映)、個別施策=不満テーマの先回り(1商品ずつ潰す)。前者は設計の仕事、後者は物量の仕事です。

実際、50商品から出てきた改善案は190件(優先度:高81件/中76件/低33件)でした。1商品あたり約4件。これを人力で1商品ずつ読み込んでやろうとすると、まず終わりません。売上上位50商品ですらこれなので、全商品となれば桁が変わります。

不満つぶしが効くと分かっていても手が回らない、というのが多くの店舗の実情だと思います。ここは根性ではなく、分類と集計を機械にやらせて物量で殴るところです。

実際にやっている手順(4ステップ)

特別なツールは使っていません。やっていることは単純です。

1. 対象商品を売上で絞る

全商品を対象にしません。直近3ヶ月の売上で上位50商品に絞ります。改善のインパクトは売上の大きい商品に比例するので、ロングテールから手を付けても徒労になりがちです。

2. レビューを取得する

商品ごとにレビューを取得します。今回は1商品あたり最大120件を上限にしました。全件取る必要はありません。新しい順に100件前後あれば、テーマの比率は安定します。

3. 1件ずつ分類する(ここを機械にやらせる)

レビュー本文を読んで「何について書かれているか」のテーマを付け、満足か不満かを判定します。分類だけをLLMにやらせて、集計は自分でやるのがポイントです。

「レビューを要約して」と丸投げすると、それらしい文章は返ってきますが、比率が合いません。71%と書いてあっても実際は数えていない。分類(1件ずつのラベル付け)と集計(数える)を分けて、数えるほうはコードでやると、出てきた数字をそのまま意思決定に使えます。

4. テーマ比率から改善案に落とす

最後に、テーマの比率と代表的な引用を根拠にして、ページのどこをどう直すかまで書き下ろします。「保湿感の訴求が弱い」で止めず、「『こんな方におすすめ』の直後に、乾燥が気になる人向けの使い方を1文追加する」まで具体化します。ここまで落ちて初めて、そのまま作業に渡せます。

やりがちな失敗

レビューを"読んで"改善案を出すと、印象に残った1〜2件の強い不満に引きずられます。★1の長文は記憶に残るので、実際には3%しかない不満を最優先にしてしまう。数えるのは、この歪みを外すためです。

改善案190件は、だいたい5つの型に落ちた

出てきた190件を振り返ると、書き方はほぼ5パターンでした。自店舗でやるときの型として使えると思います。

  1. 最頻の満足テーマを、説明文の冒頭に引き上げる — レビューで最も支持された言葉は、たいてい商品ページで主役になっていません。作り手が伝えたいことと、買った人が良かったと感じたことがズレている。レビューの言葉をそのまま冒頭に持ってくるだけで噛み合います。
  2. 不満テーマを、FAQや使い方で先回りする — 「出にくい」という不満が5%あるなら、注意書きを目立つ位置に移して「最初は少し多めに回してください」と書く。買う前の期待を調整すると、低評価そのものが減ります。
  3. 満足テーマを、1枚目の画像の文言に反映する — 説明文まで読まれない層に効きます。一覧で並んだときに強みが伝わるかどうか。
  4. レビューに出てくる「隠れ用途」を、新しい訴求として足す — 売り手が想定していなかった使われ方が、レビューにはよく書かれています。これは検索キーワードの発見にもなります。
  5. 期待値のズレを生む表現を、直す・消す — 「色が写真と違う」系の不満は、たいてい画像の撮り方や表現が原因です。盛るのをやめると低評価が減り、結果的に売上が安定します。

明日からできること

道具を揃えなくても、今日中に着手できるところから書いておきます。

  • 売上上位20商品について、★2以下の件数を数える。 平均評価ではなく比率で見る。10%を超える商品にマークを付ける
  • マークが付いた商品の★2以下レビューを、全部読んで一言でラベルを付ける。 20件もあれば傾向は見えます
  • いちばん多かったラベル1つについて、ページに先回りの説明を足す。 FAQでも、注意書きの位置移動でも構いません
  • 同時に、★5レビューで最も多く出てくる言葉を1つ拾って、説明文の1行目に入れる

これだけで、少なくとも「何を直すか分からない」状態からは抜けられます。効いたかどうかは、レビューの低評価率と転換率の推移で判断できます。

そして、ここまで読んで「理屈は分かるが、50商品ぶんやる時間がない」と思われたなら、それが正しい感想です。この分析の価値は考え方ではなく、1商品ずつ潰しきる物量のほうにあります。